ひたぶるに死なば何かはさもあらばあれ
生きてかひなき物思ふ身は
- 歌の意味
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いっそひと思いに死んでしまうなら、何のかまうことがあろう、どうともなるがよい。生きていてもかいのない、恋の物思いをするこの身は。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 934
詞書は前の歌に続き「題しらず」
いっそひと思いに死んでしまうなら何のかまうことがあろうか、どうなってもよい、生きていてもかいのない物思いの身なのだから、と詠む歌である。恋の苦しみに生きる意味を見失い、死をも厭わない投げやりな心が、字余りの激しい調子で詠まれている。
前歌から続く生死を見つめる一連の終わりにあたる歌である。
初句「ひたぶるに」は、ひたすらに、いっそひと思いに、の意である。
二句「死なば何かは」は、死んでしまうならば何のかまうことがあろうか、の意で、「かは」は反語を表す。本巻の第九百二十七首の「捨てはてむ命」、第九百二十八首の「生き死なん」と、死を思う心を共有している。
三句「さもあらばあれ」は、どうともなるがよい、の意で、八音の字余りである。ここで句切れとなる。
四句「生きてかひなき」は、生きていてもかいのない、の意である。二句の「死なば」と対をなしている。
結句「物思ふ身は」は、恋の物思いをするこの身は、の意で、上の句の主語にあたる語を最後に置く倒置となっている。
ものおもふ:物思ふ。恋に思い悩む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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世の中の憂きもつらきも忍ぶれば 思ひ知らずと人や見るらん
- 次の歌
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恋するに死にするものにあらませば 千たびぞ我は死にかへらまし