なき名ぞと人には言ひてありぬべし
心の問はばいかが答へん
- 歌の意味
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根も葉もないうわさだと、人にはそう言って過ごすこともできるだろう。けれども自分の心が問いかけてきたら、どう答えたらよいのだろう。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 725
詞書「親ある女に忍びて通ひけるを、男もしばしは人に知られじと言ひ侍りければ」
人には根も葉もないうわさだと言っていられるだろうが、自分の心が問うたらどう答えようか、と詠んだ歌である。人目はごまかせても、自分の心はごまかせないという、秘めた恋の苦しさを述べている。
詞書によれば、親のいる女のもとにひそかに通っていたが、男もしばらくは人に知られまいと言ったので詠んだ歌である。次歌の第七百二十六首も「なき名」を題材とし、二首が続いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。詞書によれば、通われていた女の歌と考えられる。
初句「なき名ぞと」は、根も葉もないうわさだと、の意である。次歌の第七百二十六首の詞書「なき名立ちけるころ」と、同じ語でつながっている。
二句「人には言ひて」は、人には言って、の意である。
三句「ありぬべし」は、過ごすことができるだろう、の意で、ここで句切れとなる。
四句「心の問はば」は、自分の心が問うたならば、の意で、二句の「人」と「心」が対をなしている。
結句「いかが答へん」は、どう答えようか、の意で、「ん」は推量を表す。
なきな:根拠のないうわさ、ぬれぎぬ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君を思ふ心を人にこゆるぎの 磯の玉藻や今も刈らまし
- 次の歌
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清けれど玉ならぬ身のわびしきは 磨けるものに言はぬなりけり