限りなきおもひの空に満ちぬれば
いくその煙雲となるらん
- 歌の意味
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限りない私の恋の思いの火が空に満ちてしまったので、どれほど多くの煙が雲となっているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 971
詞書「円融院御時、少将更衣のもとに遣はしける」
限りない恋の思いの火が空に満ちてしまったので、どれほど多くの煙が雲となっているのだろうか、と詠む歌である。燃える恋の思いの煙が空いっぱいに広がって雲となるという壮大な誇張によって、帝の思いの深さを更衣に伝えている。
詞書によれば、円融天皇の御代に、少将更衣のもとへ贈った歌である。次歌の第九百七十二首が少将更衣の返歌で、贈答の二首が並んでいる。
作者の「円融院」は円融天皇である。村上天皇の皇子で、第六十四代の天皇として即位し、譲位後は円融院と呼ばれた。一条天皇の父にあたる。
初句「限りなき」は、限りのない、の意である。本巻の第九百四十二首の初句「限りなく」、第九百七十八首の初句「限りなく」と、限りのない恋の思いを詠む点で呼応している。
二句「おもひの空に」は、恋の思いの火が空に、の意で、「おもひ」の「ひ」に「火」を掛けた掛詞である。結句の「煙」と縁語をなしている。
三句「満ちぬれば」は、満ちてしまったので、の意である。
四句「いくその煙」は、どれほど多くの煙が、の意で、「いくそ」は、どれほど、の意である。
結句「雲となるらん」は、雲となっているのだろうか、の意で、「らん」は現在推量の助動詞である。恋の火の煙が空に満ちて雲となるという誇張で結んでいる。
おもひ:「思ひ」と、恋の炎の「火」を掛ける
けぶり:煙。けむり
かうい:更衣。天皇の寝所に仕えた女官で、女御に次ぐ位
- 作者
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円融天皇
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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なげきこる山路は人も知らなくに 我が心のみ常に行くらん
- 次の歌
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空に満つおもひの煙雲ならば ながむる人の目にぞ見えまし