こゆるぎのいそぎて来つるかひもなく
またこそ立てれ沖つ白波
- 歌の意味
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小余綾の磯ではないが、急いでやって来た甲斐もなく、貝もないように、また沖の白波が立ってしまっている。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1224
詞書「題しらず」
急いでやって来た甲斐もなく、また沖の白波が立っていると詠む歌である。相模国の歌枕である小余綾の磯を持ち出し、「磯」に「急ぎ」を、「貝」に「甲斐」を掛けて、急いで逢いに来たのに、またも妨げが立ちはだかって逢えないもどかしさを詠んでいる。白波は、二人の間を隔てる人目や妨げをたとえたものとみられる。
初句「こゆるぎの」は、相模国の小余綾の、の意で、二句の「いそ」を導いている。
二句「いそぎて来つる」は、「いそ」が小余綾の「磯」と「急ぎ」を掛ける掛詞である。急いでやって来た、の意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形である。
三句「かひもなく」は、「かひ」が磯の「貝」と「甲斐」を掛ける掛詞である。
四句「またこそ立てれ」は、また立っている、の意で、係助詞「こそ」を受けて存続の助動詞「り」の已然形「れ」で結ぶ係り結びである。ここで句切れとなる四句切れの歌で、結句との間は倒置になっている。
結句「沖つ白波」は、沖の白波、の意で、体言止めである。逢瀬を隔てる妨げをたとえている。
こゆるぎ:小余綾。相模国の海岸
いそぎ:小余綾の「磯」と、「急ぎ」を掛ける
かひ:磯の「貝」と、「甲斐」を掛ける
おきつしらなみ:沖つ白波。沖に立つ白波
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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秋萩の花も植ゑおかぬ宿なれば しか立ち寄らむ所だになし
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忍びつつ夜こそきしか唐衣 ひとや見むとは思はざりしを