秋萩の花も植ゑおかぬ宿なれば
しか立ち寄らむ所だになし
- 歌の意味
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秋萩の花さえ植えておかない家なので、鹿が立ち寄るような所さえない。そのようにあなたが忍んで立ち寄る場所もないのだ。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1223
詞書「やむごとなき所にさぶらひける女のもとに、秋ごろ忍びてまからむと、男の言ひければ」
秋萩の花さえ植えておかない家なので、鹿が立ち寄るような所さえないと詠む歌である。詞書から、身分の高い方のもとに仕えていた女に、秋の頃、男がひそかに訪ねて行こうと言ってきたので答えた歌とわかる。萩を妻として慕い寄るとされる鹿に男をたとえ、「鹿」に「然か(そのように)」を掛けて、忍んで来られるような場所はないと、やんわりと断っている。
初句「秋萩の」は、秋に咲く萩の、の意で、萩は鹿が妻として慕い寄る花とされる。
二句「花も植ゑおかぬ」は、花さえ植えておかない、の意で、八音の字余りの句である。
三句「宿なれば」は、家であるので、の意で、「ば」は已然形について原因を表す。
四句「しか立ち寄らむ」は、「しか」が「鹿」と、そのように の意の「然か」を掛ける掛詞である。鹿が立ち寄るような、あなたがそのように立ち寄るような、の二つの意を重ねている。
結句「所だになし」は、場所さえない、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる副助詞である。
しか:「鹿」と、そのように の意の「然か」を掛ける
やど:宿。家、住まい
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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