間近くてつらきを見るはうけれども
うきはものかは恋しきよりは
- 歌の意味
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間近にいながら相手のつれなさを見るのはつらいけれども、そのつらさなど物の数ではない、離れて恋しく思うことに比べれば。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1045
詞書「来て物言ひける人の、おほかたはむつましかりけれど、近うはえあらずして」
間近でつれなさを見るのはつらいけれども、そのつらさなど恋しさに比べれば物の数ではない、と詠んだ歌である。そばにいて冷たくされる苦しみよりも、離れて恋い慕う苦しみのほうがまさると、近さと遠さを比べて詠んでいる。
詞書によれば、訪ねて来て語らう人が、おおよそは親しかったけれども、間近に寄り添うことはできずにいた折の歌である。本巻の第千四十一首の四句「いとど間近く」を受けるように、「間近くて」と詠み起こしている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「間近くて」は、間近にいて、の意で、本巻の第千四十一首の四句「いとど間近く」と同じ語を用いている。
二句「つらきを見るは」は、つれなさを見るのは、の意である。
三句「うけれども」は、つらいけれども、の意で、「うけれ」は「憂し」の已然形である。
四句「うきはものかは」は、そのつらさは物の数だろうか、いやそうではない、の意で、「ものかは」は反語を表す。三句の「うけれ」を「うき」と重ねている。
結句「恋しきよりは」は、恋しく思うことに比べれば、の意で、四句へ返る倒置となっている。
もの:取り立てて言うほどのもの。「ものかは」で物の数ではない意
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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朝ごとに露は置けども人恋ふる わが言の葉は色も変はらず
- 次の歌
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筑紫なる思ひそめ河渡りなば 水やまさらんよどむ時なく