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暗きより暗き道にぞ入りぬべき
はるかに照らせ山の端の月

歌の意味
私は暗い迷いの道から、さらに暗い道へと入ってしまいそうだ。はるか遠くまで照らしてください、山の端の月よ。
鑑賞
巻第二十 哀傷 1342

詞書「性空上人のもとに、詠みて遣はしける」
 暗い道からさらに暗い道へと入ってしまいそうだ、はるかに照らしてほしい、山の端の月よと詠む歌である。詞書から、書写山の性空上人のもとに詠んで送った歌とわかる。法華経の化城喩品の「冥きより冥きに入る」という一節を踏まえ、煩悩の闇に迷う我が身を救ってほしいと、山の端に出る月を真如の月、すなわち仏の教えや上人の導きになぞらえて願っている。和泉式部の代表作として名高い。
 作者の「雅致女式部」は和泉式部である。越前守大江雅致の娘で、和泉守橘道貞の妻となったことから和泉式部と呼ばれた。中古三十六歌仙の一人で、百人一首の「あらざらむ」の歌で知られる。
 法華経の化城喩品の「従冥入於冥」を踏まえている。

 初句「暗きより」は、暗い迷いの道から、の意で、煩悩の闇をいう。
 二句「暗き道にぞ」は、さらに暗い道に、の意で、初句の「暗き」を重ねて、迷いが深まってゆくことを表している。係助詞「ぞ」は三句の連体形「べき」で結ぶ係り結びである。
 三句「入りぬべき」は、入ってしまいそうだ、の意で、「ぬ」は完了、「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「はるかに照らせ」は、はるか遠くまで照らしてほしい、の意で、命令形で月に呼びかけている。
 結句「山の端の月」は、山の稜線にかかる月、の意で、体言止めである。仏の教えを月にたとえる真如の月を踏まえ、上人の導きをいう。

やまのは:山の端。山の稜線
しんによのつき:真如の月。仏の真理を、闇を照らす月にたとえた語
作者
和泉式部
出典
拾遺和歌集
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朝ごとに払ふ塵だにあるものを 今幾世とてたゆむなるらん
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