別れても同じ都にありしかば
いとこのたびの心地やはせし
- 歌の意味
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別れても同じ都にいたので、今度の旅立ちのようにこれほどつらい気持ちがしただろうか、いや、しなかった。
- 鑑賞
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巻第七 離別歌 490
詞書「離れにける男の遠きほどに行くを、いかが思ふと言ひて侍りければ、遣はしける」
すでに仲の絶えた男が遠い地方へ下るのを、どう思うかと人が尋ねてきたので、贈った歌である。別れても同じ都にいたので、今度の旅立ちのようにこれほどつらい気持ちがしただろうか、いや、しなかった、と詠む。恋人として別れた時よりも、同じ都にいるという支えさえ失う今度の別れのほうがつらい、と率直に語り、断ち切れない思いをのぞかせている。
作者の「和泉式部」は越前守大江雅致の娘である。和泉守橘道貞の妻となったことからこの名で呼ばれる。一条天皇の中宮彰子に仕え、情熱的な恋の歌で知られる。中古三十六歌仙の一人で、小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「別れても」は、恋人として別れても、の意である。本巻の巻末の第四百九十七首も同じ「別れても」で始まり、本歌が別れたあとの思いを振り返るのに対し、第四百九十七首は別れても心を隔てるなと願う。
二句「同じ都に」は、同じ都に住んで、の意で、離れても近くにいるという支えを示す。
三句「ありしかば」の「しか」は過去の助動詞「き」の已然形で、「ば」が付いて確定条件となり、いたので、の意である。
四句「いとこのたびの」の「このたび」に、今度の意と、男の遠い旅の意とを掛ける。
結句「心地やはせし」の「やは」は反語の係助詞で、過去の助動詞「き」の連体形「し」と結ぶ。これほどの気持ちがしただろうか、いやしなかった、の意である。
はなる:縁が切れる、疎遠になる
このたび:今度の意と、男の遠い旅の意を掛ける
- 作者
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和泉式部
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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あはれとし思はむ人は別れじを 心は身よりほかのものかは
- 次の歌
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忍べどもこの別れ路を思ふには から紅の涙こそ降れ