- 歌の意味
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梅の香りに鶯の声が移るものならば、鶯の鳴いているこの一枝を折ろうものを。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 27
詞書「題しらず」
梅の香りは袖などに移って残るが、鶯の声は移ることがない。もし鶯の声も梅の香りに移ってくれるものならば、鶯の鳴いている一枝を折って手元に置こうものを、と詠む。かなわない願いを仮に立てることで、梅に鳴く鶯の声への愛着を表している。
作者の「右大臣」は徳大寺実定である。右大臣藤原公能の子で、千載和歌集が撰ばれたころ右大臣の任にあり、のちに左大臣に至った。後徳大寺左大臣と呼ばれた。
初句「梅が香に」は、梅の香りに、の意である。
二句「声移りせば」の「せ」は過去の助動詞「き」の未然形で、「ば」と合わせて事実に反する仮定を表す。前々歌の第二十五首が風に梅の香の移るさまを詠んだのを受け、ここでは声が香に移ることを仮定している。
三句「鶯の」は、四句の「鳴く」の主語となる。
四句「鳴く一枝は」は、鶯が鳴いている一本の枝を指す。
結句「折らましものを」の「まし」は反実仮想の助動詞で、二句の「せば」と呼応する。「ものを」は、実際にはできないことへの残念さを込める。次歌の第二十八首が「声さへ匂ふ」と鶯の声と香りを重ねるのと対をなす。
うつる:香りや色などが他のものに移り付く
- 作者
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徳大寺実定
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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梅が香はおのが垣根をあくがれて 真屋のあたりに隙求むなり
- 次の歌
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梅が枝の花に木づたふ鶯の 声さへ匂ふ春の曙