尋ね来て手折る桜の朝露に
花のたもとの濡れぬ日ぞなき
- 歌の意味
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尋ねて来ては手折る桜に置いた朝露のために、花やかな衣のたもとが濡れない日はない。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 53
詞書「毎朝見花といへる心をよみ侍りける」
「毎朝花を見る」という題で詠んだ歌である。毎朝桜を尋ねて来ては枝を手折るので、桜に置いた朝露のために、花見の衣の袂が濡れない日は一日もないと詠む。袂を濡らすことをいとわず毎朝花のもとに通う、桜への深い愛着を表している。
作者の「中院右のおほいまうちきみ」は源雅定である。太政大臣源雅実の子で、右大臣に至った。中院右大臣と呼ばれ、和歌や管弦にすぐれた。「おほいまうちきみ」は大臣をいう。
なお本文の三句は「あキふに」とあり、読み仮名の行の「あさつゆに」と一致しない。本文のままでは語として意味が通らないため、ここでは読み仮名の行に従って解した。
初句「尋ね来て」は、桜を尋ねてやって来て、の意である。
二句「手折る桜の」の「手折る」は、手で折り取ることをいう。
三句「朝露に」は、桜に置いた朝露によって、の意で、題の「毎朝」を表す。
四句「花のたもとの」は、花見のための華やかな衣の袂をいい、桜の花を折った袖の意も重なる。
結句「濡れぬ日ぞなき」は、濡れない日はない、という二重否定で、毎日濡れることを強く表す。「ぞ」は係助詞で、形容詞「なし」の連体形「なき」と係り結びをなす。
たをる:手で折り取る
たもと:袖、袂
- 作者
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源雅定
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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咲き匂ふ花のあたりは春ながら 絶えせぬ宿のみゆきとぞ見る
- 次の歌
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仮にだに厭ふ心やなからまし 散らぬ花咲くこの世なりせば