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葛城や高間の山の桜花
雲居のよそに見てや過ぎなむ

歌の意味
葛城の高間の山の桜の花を、雲のかなたの遠いものとしてただ眺めるだけで、通り過ぎてしまうのだろうか。
鑑賞
巻第一 春歌上 56

詞書「崇徳院に百首歌奉りける時、花の歌とてよめる」
 崇徳院に百首歌を奉った際、「花」を題として詠んだ歌である。葛城の高間の山に咲く桜は、雲と見まがうほど高く遠いところにあり、近づくこともできず、ただ遠くの雲のように眺めて通り過ぎてしまうのだろうか、と詠む。手の届かない高嶺の桜への憧れと、近づけない名残惜しさとを表している。
 作者の「左京大夫顕輔」は藤原顕輔である。修理大夫藤原顕季の子で、六条藤家の歌道を継ぎ、崇徳院の命により詞花和歌集を撰んだ。藤原清輔の父である。

 初句「葛城や」の「や」は詠嘆の間投助詞である。葛城は大和と河内の境に連なる山並みをいう。
 二句「高間の山の」の「高間の山」は葛城の主峰で、雲のかかる山として詠まれた歌枕である。
 三句「桜花」は、高間の山に咲く桜をいい、ここで一首の主題が示される。
 四句「雲居のよそに」の「雲居」は雲のあるはるか遠い所をいい、「よそに」は自分とは関わりのない遠いものとして、の意である。
 結句「見てや過ぎなむ」の「や」は疑問の係助詞、「なむ」は強意の助動詞「ぬ」の未然形に推量の助動詞「む」の連体形が付いた形で、係り結びをなす。見るだけで通り過ぎてしまうのだろうか、の意となる。

くもゐ:雲のあるところ、はるか遠い所
よそ:自分とは関わりのない遠い所
作者
藤原顕輔
出典
千載和歌集
前の歌
みな人の心に染むる桜花 いくしほ年に色まさるらむ
次の歌
山桜霞こめたるありかをば つらきものから風ぞ知らする