山桜霞こめたるありかをば
つらきものから風ぞ知らする
- 歌の意味
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山桜が霞に包みこめられて隠れているありかを、花を散らすつらいものではあるが、風が香りで知らせてくれる。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 57
詞書は前の歌に続き「崇徳院に百首歌奉りける時、花の歌とてよめる」
前歌と同じく、崇徳院に奉った百首歌の「花」の歌である。霞に包まれて見えない山桜のありかを、花を散らすつらい存在である風が、香りを運ぶことで知らせてくれると詠む。恨めしい風にも、花のありかを教えるという功のあることを見いだした趣向である。
作者の「前参議教長」は藤原教長である。大納言藤原忠教の子で、参議に至った。崇徳院の近臣として仕え、保元の乱の後に常陸国へ流された。書にもすぐれた。
初句「山桜」は、詠む対象を最初に示す。
二句「霞こめたる」の「こめ」は包み込んで隠す意、「たる」は存続の助動詞「たり」の連体形で、霞が包み隠している、の意となる。
三句「ありかをば」の「ありか」は物のある場所をいい、「をば」は強調を表す。
四句「つらきものから」の「ものから」は逆接の接続助詞で、花を散らすつらいものではあるが、の意となる。本巻の第四十八首は霞に風を隔ててほしいと願ったが、本歌では霞の隠す花を風が明かしており、霞と風の役割が反転した対をなす。
結句「風ぞ知らする」の「ぞ」は係助詞で、「知らする」と連体形で結ぶ。風が香りによって花のありかを知らせることをいう。
ありか:物のある場所
こむ:中に包み入れて隠す
- 作者
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藤原教長
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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葛城や高間の山の桜花 雲居のよそに見てや過ぎなむ
- 次の歌
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神垣の三室の山は春来てぞ 花の白木綿かけて見えける