- 歌の意味
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すべての人の心を染める桜の花は、年ごとに幾度染め重ねて、こうも色が深まっていくのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 55
詞書「十首の歌人のよませ侍りける時、花の歌とてよみ侍りける」
人に十首歌を詠ませた折に、「花」を題として詠んだ歌である。桜の花はすべての人の心を自分の色に染めてしまうが、年ごとに幾度染め重ねて、その色をますます深めていくのだろうか、と詠む。染め物の言葉を用いて、年を重ねるごとに深まる桜の美しさと、人々の桜への思いとを表している。
作者の「前左衛門督公光」は藤原公光である。権大納言藤原季成の子で、権中納言に至り、左衛門督を兼ねた。
初句「みな人の」は、すべての人の、の意である。
二句「心に染むる」の「染むる」は、染める意の連体形で、桜が人の心を自分の色に染めることをいう。
三句「桜花」は、二句の「染むる」の主語であり、ここで一首の主題が示される。
四句「いくしほ年に」の「しほ」は、布を染め汁に浸す回数を数える語で、年ごとに幾度染めて、の意となる。
結句「色まさるらむ」の「らむ」は原因を推量する助動詞で、色がまさっていくのだろうか、の意である。本巻の第六十三首は「染めますものは心なりけり」と、逆に人の心が花の色を染めまさると詠み、染める側と染められる側が反転した対をなす。
しほ:布を染め汁に浸す回数、またそれを数える語
- 作者
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藤原公光
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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仮にだに厭ふ心やなからまし 散らぬ花咲くこの世なりせば
- 次の歌
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葛城や高間の山の桜花 雲居のよそに見てや過ぎなむ