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女郎花涙に露や置き添ふる
手折ればいとど袖のしをるる

歌の意味
女郎花の露が、私の涙にさらに置き加わるのだろうか。手折ると、いっそう袖がしおれ濡れることだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 253

詞書「嘆くこと侍りける時、女郎花を見てよめる」
 悲しい出来事があって嘆いていたときに、女郎花を見て詠んだ歌である。女郎花に置いた露が、私の涙にさらに加わるのだろうか、女郎花を手折ると、袖はいっそう濡れてしおれてしまう、と詠む。花に置く露と自らの涙とを重ね、嘆きの中にある身には、美しい花さえ悲しみを増すものとなることを表している。
 作者の「前左衛門督公光」は藤原公光である。権中納言藤原季成の子で、権中納言、左衛門督を務めたが、のちに解官された。
 本巻の第二百五十一首が「袖は濡るとも」と女郎花を手折ろうとしたのに対し、本歌は手折ったのちに濡れてしおれる袖を詠んでいる。

 初句「女郎花」は、一首の主題を示す。
 二句「涙に露や」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「添ふる」と係り結びをなす。女郎花の露と自らの涙とを重ねる。
 三句「置き添ふる」は、置き加わる、の意で、連体形として「や」の結びとなる。ここで句切れとなる。
 四句「手折ればいとど」の「手折る」は手で折り取る意で、「いとど」は、いっそう、の意である。
 結句「袖のしをるる」の「しをる」は濡れてぐったりする意で、連体形で言いさして余情を残す。本巻の第二百五十一首「袖は濡るとも」を受け、女郎花と袖を詠む。

たをる:手で折り取る
しをる:濡れてぐったりする
作者
藤原公光
出典
千載和歌集
前の歌
女郎花なびくを見れば秋風の 吹き来る末もなつかしきかな
次の歌
吹く風に折れ伏しぬれば女郎花 籬ぞ花の枕なりける