春雨に散る花見ればかきくらし
みぞれし空の心地こそすれ
- 歌の意味
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春雨に打たれて散る花を見ると、あたり一面を暗くしてみぞれの降った冬の空のような心地がする。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 82
詞書「後朱雀院の御時、上の男ども東山の花見侍りけるに、雨の降りければ、白河殿にとまりておのおの歌よみ侍りけるによみ侍りける」
後朱雀天皇の時代、殿上人たちが東山へ花見に出かけたところ雨が降ってきたので、白河殿にとどまってそれぞれ歌を詠んだ折の一首である。春雨に打たれて散る花を見ていると、空が暗くかき曇ってみぞれが降った冬の空のような気持ちがする、と詠む。雨に混じって白い花びらが降るさまを、雨と雪とが入り混じって降るみぞれに見立てた点に趣向がある。
作者の「大納言長家」は藤原長家である。藤原道長の子で、権大納言に至った。御子左家の祖で、千載和歌集の撰者藤原俊成の曽祖父にあたる。
初句「春雨に」は、詞書の雨を受け、春雨に打たれて、の意である。
二句「散る花見れば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、散る花を見ると、の意となる。
三句「かきくらし」は、空を一面に暗くして、の意で、雨雲に覆われた空をいう。
四句「みぞれし空の」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、みぞれの降った空の、の意である。雨に白い花びらが混じって降るさまを、雨と雪の混じるみぞれに見立てる。前歌まで晴れた日に散る花が詠まれたのに対し、本歌は雨の中に散る花を詠む。
結句「心地こそすれ」の「こそ」は係助詞で、「すれ」と已然形で結ぶ。春の景色の中に冬の空を感じ取る意外さを強調している。
かきくらす:空を一面に暗くする
みぞる:雨と雪が混じって降る
- 作者
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藤原長家
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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山桜惜しむ心のいくたびか 散る木のもとに行きかかるらん
- 次の歌
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踏めば惜し踏までは行かむ方もなし 心尽くしの山桜かな