花の散る木の下陰はおのづから
染めぬ桜の衣をぞ着る
- 歌の意味
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花の散る木の下陰にいると、自然と、染めてもいない桜色の衣を着ることになる。
- 鑑賞
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巻第二 春歌下 85
詞書は前の歌に続き「堀河院御時、百首歌奉りける時、桜をよめる」
前歌と同じく堀河百首で「桜」を題として詠んだ歌である。花の散る木の下陰に立っていると、降りかかる花びらで衣が覆われ、わざわざ染めたわけでもないのに、おのずと桜色の衣を着たようになる、と詠む。衣を桜色に染める「桜襲」などの装いを踏まえ、散る花そのものが衣を染めるという見立てで、花の下に身を置く喜びを表している。
作者の「藤原仲実朝臣」は越前守藤原能成の子である。正四位下に至り、堀河院歌壇で活躍した。堀河百首の作者の一人で、歌学書も著した。
初句「花の散る」は、前歌の第八十四首「散る花ごとに」を受けて、花の散る景を詠み起こす。
二句「木の下陰は」は、木の下の陰では、の意である。本巻の第七十七首、第八十一首と同じく、花の散る木の下を詠む。
三句「おのづから」は、自然と、ひとりでに、の意である。
四句「染めぬ桜の」は、染めてもいない桜色の、の意である。人の手で染めるのではなく、散る花が衣を染めるという見立てを示す。
結句「衣をぞ着る」の「ぞ」は係助詞で、「着る」と連体形で結ぶ。花びらを身にまとうさまを桜色の衣を着ることに見立てる。次々歌の第九十首「花の錦は着たれども」も、散りかかる花を身にまとう衣に見立てている。
したかげ:木の下の陰
- 作者
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藤原仲実
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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山桜千々に心の砕くるは 散る花ごとに添ふにやあるらん
- 次の歌
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春を経て花散らましや奥山の 風を桜の心と思はば