- 歌の意味
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都の人よ、菖蒲を引き尽くさないでおくれ。旅寝の床の枕にするほどの分だけは残して。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 168
詞書「久我内大臣の家にて、旅宿菖蒲といへる心をよめる」
久我内大臣源雅通の邸で、「旅宿菖蒲(旅の宿の菖蒲)」という題で詠んだ歌である。端午の節句に軒に葺くために都の人々が菖蒲を引き尽くしてしまうが、せめて旅寝の床の枕にするほどの分だけは残しておいてほしい、と詠む。端午に菖蒲を枕に敷く風習を踏まえ、旅先で節句を迎える旅人の心を表している。ここから菖蒲を詠む歌が続く。
作者の「前中納言雅頼」は源雅頼である。権中納言源雅兼の子で、権中納言に至った。
本歌から第百七十首までの三首は、五月五日の端午の節句に用いる菖蒲を詠む一連である。
初句「都人」は、都の人よ、という呼びかけである。
二句「引きな尽くしそ」の「な〜そ」は禁止を表し、引き尽くさないでくれ、の意となる。ここで句切れとなる。
三句「あやめ草」は、端午の節句に軒に葺いたり身につけたりする菖蒲をいう。次歌の第百六十九首も同じく「あやめ草」を三句に置く。
四句「旅寝の床の」は、旅先で寝る床の、の意で、詞書の「旅宿」を表す。
結句「枕ばかりは」の「ばかり」は程度を表し、枕にするほどの分だけは、の意である。二句と倒置の関係にある。
あやめぐさ:菖蒲で、端午の節句に軒に葺くなどして邪気を払った
たびね:旅先で寝ること
- 作者
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源雅頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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心をぞ尽くし果てつる時鳥 ほのめく宵の村雨の空
- 次の歌
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五月雨に濡れ濡れ引かむあやめ草 沼の石垣浪もこそ越せ