- 歌の意味
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心をすっかり尽くし果ててしまった。時鳥がかすかに鳴いた、宵のにわか雨の降る空に。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 167
詞書「郭公をよめる」
「時鳥」を題として詠んだ歌である。宵のにわか雨の降る空に、時鳥がかすかに鳴いたように思えたが、雨音にまぎれて確かには聞こえず、聞き取ろうとして心をすっかり使い果たしてしまった、と詠む。村雨の空に溶けこむほのかな声という余情豊かな景によって、時鳥の一連を結んでいる。
作者の「権中納言長方」は藤原長方である。権中納言藤原顕長の子で、権中納言に至った。母は藤原俊忠の娘で、撰者藤原俊成の甥にあたる。
初句「心をぞ」の「ぞ」は係助詞で、二句の「つる」と係り結びをなす。
二句「尽くし果てつる」の「果つ」はすっかり〜し尽くす意、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、「ぞ」の結びとなる。心を使い果たしてしまった、の意で、ここで句切れとなる。本巻の第百五十六首「心も尽きぬ」も、時鳥を思う心が尽きることを詠む。
三句「時鳥」は、四句の「ほのめく」の主を示す。
四句「ほのめく宵の」の「ほのめく」は、声がかすかに聞こえる意である。
結句「村雨の空」は体言止めで、にわか雨の降る空をいう。時鳥の一連はここで結ばれ、次歌からは菖蒲の歌が続く。本巻の第百七十三首も宵の村雨を詠む。
むらさめ:ひとしきり強く降ってはやむ雨、にわか雨
ほのめく:かすかに聞こえる、かすかに見える
- 作者
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藤原長方
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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夜を重ね寝ぬよりほかに時鳥 いかに待ちてか二声は聞く
- 次の歌
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都人引きな尽くしそあやめ草 旅寝の床の枕ばかりは