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秋風や涙もよほすつまならむ
おとづれしより袖の乾かぬ

歌の意味
秋風は涙を誘うきっかけなのだろうか。秋風が訪れてからというもの、私の袖は涙で乾くことがない。
鑑賞
巻第四 秋歌上 234

詞書「はじめの秋の心をよめる」
 「初秋」の心を詠んだ歌である。秋風は涙を誘い出すきっかけなのだろうか、秋風が音を立てて訪れたときから、私の袖は涙で乾くことがない、と詠む。秋風の訪れと袖の涙とを因果で結び、秋の到来とともに始まる尽きない悲しみを表している。
 作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院歌壇の中心的な歌人で、白河院の院宣を受けて金葉和歌集を撰び、歌論書「俊頼髄脳」を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
 本巻の第二百三十一首が秋風に散る涙を詠んだのに続き、本歌も秋風と涙とを結びつける。また本巻の第二百四十九首は「をしかのつまならん 花咲きしより声の色なる」と、本歌と同じく「つまならむ」と推し量り、「〜しより」と変化の始まりを示す形をとっている。

 初句「秋風や」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「らむ」と係り結びをなす。
 二句「涙もよほす」の「もよほす」は、誘い起こす意である。秋風が涙を誘い出すとする。
 三句「つまならむ」の「つま」は、物事の糸口、きっかけの意である。「らむ」は「や」の結びで、きっかけなのだろうか、と推し量る。ここで句切れとなる。本巻の第二百四十九首も同じく「つまならん」と詠む。
 四句「おとづれしより」の「おとづる」は訪れる意で、風の「音」の響きを含む。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、秋風が訪れてから、の意となる。
 結句「袖の乾かぬ」は、袖が乾かない、の意で、連体形で言いさして余情を残す。本巻の第二百三十一首「散る涙」と同じく、秋風が呼ぶ涙を詠む。

もよほす:誘い起こす
つま:物事の糸口、きっかけ
おとづる:訪れる意で、風の「音」の響きを含む
作者
源俊頼
出典
千載和歌集
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物ごとに秋の気色はしるけれど まづ身にしむは荻の上風
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七夕の心のうちやいかならむ 待ち来し今日の夕暮の空