七夕の天つ領巾吹く秋風に
八十の船津を御船出づらし
- 歌の意味
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織女の天上の領巾を吹きなびかせる秋風に乗って、数多くの船着き場から、御船が漕ぎ出してゆくらしい。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 236
詞書「百首歌奉りける時、七夕の心をよめる」
崇徳院に百首歌を奉った際に、「七夕」の心を詠んだ歌である。織女の肩にかけた天上の領巾をなびかせて秋風が吹くと、その風に乗って、天の川の数多くの船着き場から御船が漕ぎ出してゆくらしい、と詠む。「領巾」「八十の船津」「御船」など古風な語を連ね、天の川の逢瀬へ向かう舟出を壮大な景として描いている。
作者の「大納言隆季」は藤原隆季である。中納言藤原家成の子で、大納言に至った。四条家の祖とされ、崇徳院の久安百首の作者の一人である。
前歌の第二百三十五首が夕暮れに逢瀬を待つ織女の心を詠んだのに続き、本歌は逢瀬へ向かう舟出を詠む。七夕の一連は時の流れに沿って進んでいく。
初句「七夕の」は、ここでは織女をいい、二句の「天つ領巾」にかかる。
二句「天つ領巾吹く」の「天つ」は天上の、の意、「領巾」は女性が肩にかけた細長い布である。織女の領巾を秋風がなびかせるさまをいう。次歌の第二百三十七首「天の羽衣」も織女の衣装を詠む。
三句「秋風に」は、領巾を吹く秋風に乗って、の意である。七夕の逢瀬は秋の初めの行事であり、秋風が舟出を促す。
四句「八十の船津を」の「八十」は数の多いこと、「船津」は船着き場をいう。天の川の多くの船着き場から、の意である。
結句「御船出づらし」の「御船」は舟の美称、「らし」は根拠のある推定の助動詞で、漕ぎ出してゆくらしい、の意となる。
ひれ:古代の女性が肩にかけた細長い布
ふなつ:船着き場
みふね:舟の美称
- 作者
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藤原隆季
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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七夕の心のうちやいかならむ 待ち来し今日の夕暮の空
- 次の歌
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七夕の天の羽衣重ねても 飽かぬ契りやなほ結ぶらん