夕されば萱が茂みに鳴き交はす
虫の音をさへ分けつつぞ行く
- 歌の意味
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夕方になると、萱の茂みで鳴き交わす虫の声までも、草とともにかき分けながら、野の道を進んでゆく。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 255
詞書「摂政前右大臣、家に歌合し侍りける時、野径秋夕といへる心をよめる」
摂政前右大臣九条兼実の邸で催された歌合で、「野径秋夕(野の道の秋の夕べ)」という題で詠んだ歌である。夕方になって野の道を行くと、萱の茂みでは虫たちが鳴き交わしていて、茂みをかき分けるとともに、その虫の声までも分けながら進んでゆく、と詠む。耳に聞く虫の声を、手でかき分ける草と同じように「分ける」と詠んだ点に趣向がある。
作者の「藤原盛方朝臣」は民部卿藤原顕時の子とされる廷臣である。
本巻の第二百五十九首、第二百七十二首も「夕されば」で詠み起こし、秋の夕べを詠む。
初句「夕されば」の「夕さる」は夕方になる意で、詞書の題の「秋夕」を示す。本巻の第二百五十九首、第二百七十二首も同じ初句を置く。
二句「萱が茂みに」の「萱」は、すすきなど屋根をふくのに用いる草の総称である。茂った萱の中を示す。
三句「鳴き交はす」は、虫たちが互いに鳴き交わす、の意である。
四句「虫の音をさへ」の「さへ」は添加を表し、草だけでなく虫の声までも、の意となる。
結句「分けつつぞ行く」の「つつ」は反復、継続を表し、「ぞ」は係助詞として「行く」と連体形で結ぶ。題の「野径」をこの句で表す。
ゆふさる:夕方になる
かや:すすきなど屋根をふくのに用いる草の総称
- 作者
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藤原盛方
- 出典
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千載和歌集
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吹く風に折れ伏しぬれば女郎花 籬ぞ花の枕なりける
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さまざまに心ぞとまる宮城野の 花の色々虫の声々