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さまざまに心ぞとまる宮城野の
花の色々虫の声々

歌の意味
さまざまに心がひきとめられる。宮城野の花のさまざまな色と、虫のさまざまな声とに。
鑑賞
巻第四 秋歌上 256

詞書「堀河院御時、百首歌奉りける時、よめる」
 堀河百首で詠んだ歌である。宮城野に咲く花のさまざまな色と、そこで鳴く虫のさまざまな声とに、あれこれと心がひきとめられる、と詠む。「色々」「声々」と畳語を対句に並べ、目に映る秋草の彩りと耳に響く虫の音とが満ちあふれる秋の野の豊かさを、軽やかな調べで表している。
 作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院歌壇の中心的な歌人で、白河院の院宣を受けて金葉和歌集を撰び、歌論書「俊頼髄脳」を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
 本巻の第二百四十九首に続いて宮城野を詠み、第二百四十七首の和泉式部の歌が萩の花とひぐらしの声とを並べたのと同じく、目で見るものと耳で聞くものとを対にしている。

 初句「さまざまに」は、いろいろに、の意で、四句の「色々」、結句の「声々」を予告する。本巻の第二百六十一首も「さまざまの」で詠み起こす。
 二句「心ぞとまる」の「ぞ」は係助詞で、「とまる」と連体形で結ぶ。心がひきとめられる、の意で、ここで句切れとなり、三句以下と倒置の関係にある。次歌の第二百五十七首「宿にとまる」も「とまる」を詠む。
 三句「宮城野の」の「宮城野」は陸奥国の歌枕で、萩の名所である。本巻の第二百四十九首も宮城野を詠む。
 四句「花の色々」は、花のさまざまな色、の意で、目に映る景を示す。
 結句「虫の声々」は体言止めで、虫のさまざまな声、の意である。四句と対句をなし、色と声、視覚と聴覚とを並べて結ぶ。

みやぎの:陸奥国の歌枕で、萩の名所
作者
源俊頼
出典
千載和歌集
前の歌
夕されば萱が茂みに鳴き交はす 虫の音をさへ分けつつぞ行く
次の歌
秋来れば宿にとまるを旅寝にて 野辺こそ常の住処なりけれ