秋来れば宿にとまるを旅寝にて
野辺こそ常の住処なりけれ
- 歌の意味
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秋が来ると、わが家に泊まることのほうが旅寝のようで、野辺こそがいつもの住まいなのであった。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 257
詞書「野花留客といへる心をよめる」
「野花留客(野の花が客を留む)」という題で詠んだ歌である。秋が来ると、野の花に心ひかれて野辺に出たまま帰らず、たまにわが家に泊まるほうがかえって旅寝のようになり、野辺こそがいつもの住まいとなってしまった、と詠む。家と旅との関係を逆転させる機知によって、秋の野の花の魅力を表している。
作者の「源俊頼朝臣」は大納言源経信の子である。堀河院歌壇の中心的な歌人で、白河院の院宣を受けて金葉和歌集を撰び、歌論書「俊頼髄脳」を著した。小倉百人一首にも歌が採られている。
前歌の第二百五十六首「心ぞとまる」に続き、本歌も「宿にとまる」と「とまる」を詠み、野の花に心も身もとどめられるさまを示す。
初句「秋来れば」は、秋が来ると、の意である。本巻の第二百四十二首も同じ初句で詠み起こす。
二句「宿にとまるを」は、わが家に泊まることを、の意である。前歌の第二百五十六首「心ぞとまる」と「とまる」を共有する。
三句「旅寝にて」は、旅寝として、の意で、自分の家に泊まることを旅寝とみなす逆転を示す。
四句「野辺こそ常の」の「こそ」は係助詞で、結句の「けれ」と係り結びをなす。野辺こそがいつもの、と強調する。
結句「住処なりけれ」の「住処」は住む所で、「けれ」は気づきを表す「けり」の已然形として「こそ」の結びとなる。題の「留客」を、野辺を住まいとすることで表す。
たびね:旅先で寝ること
すみか:住む所
- 作者
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源俊頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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さまざまに心ぞとまる宮城野の 花の色々虫の声々
- 次の歌
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野分する野辺の気色を見る時は 心なき人あらじとぞ思ふ