山里は寂しかりけり木枯らしの
吹く夕暮れのひぐらしの声
- 歌の意味
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山里は寂しいものだった。木枯らしの吹く夕暮れに聞こえる、ひぐらしの声よ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 303
詞書「堀河院御時、百首歌たてまつりける時、よめる」
堀河天皇の時代に百首歌を詠進した折の歌である。山里はやはり寂しいところであった、木枯らしの吹く夕暮れに、ひぐらしの声が聞こえてくる、と詠む。冷たい風の音と、夏の名残のようなひぐらしの声とを重ね、晩秋の山里の夕暮れの寂しさを耳からとらえている。
作者の「藤原仲実朝臣」は藤原能成の子である。院政期の歌人で、堀河院に詠進された百首歌、いわゆる堀河百首の作者の一人である。
堀河百首は、堀河天皇の時代に源俊頼、藤原公実らが題を分けて百首ずつ詠んだもので、後の百首歌の規範となった。本巻にはこの百首からの歌が多く採られている。
初句「山里は」は、都を離れた山あいの里である。本巻では第三百十首第三百十一首第三百十九首第三百二十三首など、山里の秋がくり返し詠まれる。
二句「寂しかりけり」の「けり」は詠嘆の助動詞で、寂しいものだったのだ、と実感をこめる。ここで句切れとなる。
三句「木枯らしの」の「木枯らし」は、秋の末から冬にかけて吹く強く冷たい風である。
四句「吹く夕暮れの」は、木枯らしが吹く夕暮れの、の意で、時刻を示して結句の声に続ける。
結句「ひぐらしの声」は体言止めである。ひぐらしは夕方に鳴く蝉で、その声が寂しさの源であることを最後に示す。
こがらし:秋の末から冬にかけて吹く強く冷たい風
ひぐらし:夏の終わりから秋にかけて夕方に鳴く蝉
- 作者
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藤原仲実
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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はるかなる唐土までも行くものは 秋の寝覚めの心なりけり
- 次の歌
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秋の夜は松を払はぬ風だにも 悲しきことの音を立てずやは