寂しさを何にたとへんを鹿鳴く
深山の里の明け方の空
- 歌の意味
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この寂しさを何にたとえようか。牡鹿の鳴く、山深い里の明け方の空よ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 323
詞書は前の歌に続き「鹿の歌とてよめる」
「鹿の歌」として詠んだ歌である。この寂しさを何にたとえたらよいだろうか、牡鹿の鳴く山深い里の明け方の空よ、と詠む。たとえようのない寂しさを言葉で説明せず、鹿の声の響く明け方の空そのものを示すことで、その寂しさを読む者に感じ取らせている。
作者の「惟宗広言」は平安時代末の官人で歌人である。今様にも通じ、家集に「惟宗広言集」がある。
本歌は、「鹿の歌」として詠まれた第三百十七首から第三百二十五首までの九首の一連の七首目である。
初句「寂しさを」は、たとえるものを示す。本巻の第三百三首第三百十一首と同じく、山里の寂しさを主題とする。
二句「何にたとへん」の「ん」は推量の助動詞「む」で、何にたとえようか、と自らに問う。ここで句切れとなる。
三句「を鹿鳴く」は、牡鹿の鳴く、の意で、四句の「深山の里」にかかる。
四句「深山の里の」の「深山」は奥深い山である。本巻の第三百十九首の「山里」と同じく、山深い里を舞台とする。
結句「明け方の空」は体言止めで、問いに対する答えを景色そのものとして示す。本巻の第三百十九首の「暁方」と対応し、鹿の声の聞こえる同じ時を詠む。
みやま:奥深い山
をしか:牡鹿
- 作者
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惟宗広言
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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常よりも秋の夕べをあはれとは 鹿の音にてや思ひそめけん
- 次の歌
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いかばかり露けかるらんさを鹿の 妻恋ひかぬる小野の草臥し