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数ならぬ身には積もらぬ年ならば
今日の暮れをも嘆かざらまし

歌の意味
物の数にも入らないこの身には積もらない年であるならば、今日の暮れをも嘆かずにすむだろうに。
鑑賞
巻第六 冬歌 472

詞書「歳暮述懐の心をよめる」
 歳暮述懐、すなわち年の暮れに思いを述べるという題で詠んだ歌である。物の数にも入らないこの身には年が積もらないのであれば、今日の暮れをも嘆かずにすむだろうに、と詠む。人並みに扱われない身でありながら、年齢だけは人並みに重なってゆくことへの嘆きを、反実仮想の形で表している。
 作者の「惟宗広言」は平安時代末の官人で歌人である。今様にも通じ、家集に「惟宗広言集」がある。
 第四百六十九首から本巻の巻末の第四百七十五首までの七首は、年の暮れを詠む歌である。本歌と次歌の第四百七十三首は、同じ歳暮述懐の題で詠まれた歌である。

 初句「数ならぬ」は、物の数にも入らない、取るに足りない、の意で、身分の低さや不遇を示す。
 二句「身には積もらぬ」の「積もる」は、年齢が重なる意である。数に入らない身なら、年の数にも入らないはず、という理屈を立てる。
 三句「年ならば」は、年であるならば、の意で、事実に反する仮定を示す。
 四句「今日の暮れをも」は、年の最後の日である今日の暮れをも、の意である。
 結句「嘆かざらまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、三句の「ならば」と呼応し、嘆かずにすむだろうに、と現実の嘆きを裏から示す。

かずならぬみ:物の数にも入らない、取るに足りない身
作者
惟宗広言
出典
千載和歌集
前の歌
あはれにも暮れゆく年の日数かな 帰らむことは夜の間と思ふに
次の歌
惜しめどもはかなく暮れてゆく年の しのぶ昔に帰らましかば