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あはれにも暮れゆく年の日数かな
帰らむことは夜の間と思ふに

歌の意味
しみじみと哀れに思われる、暮れてゆく年の残りの日数であることよ。年が帰ってゆくのは、たった一夜の間のことだと思うと。
鑑賞
巻第六 冬歌 471

詞書「年の暮れの心をよめる」
 年の暮れの題で詠んだ歌である。暮れてゆく年の残りの日数が、しみじみと哀れに思われる、年が帰ってゆくのは、たった一夜の間のことだと思うと、と詠む。一年が終わるのはたった一夜のことにすぎないと思うと、残り少ない日数がいとおしく感じられる心を詠んでいる。
 作者の「相模」は平安時代中期の女房歌人である。相模守大江公資の妻となったことからこの名で呼ばれる。のちに一条天皇の皇女脩子内親王に仕えた。中古三十六歌仙の一人で、小倉百人一首にも歌が採られている。
 第四百六十九首から本巻の巻末の第四百七十五首までの七首は、年の暮れを詠む歌である。本巻の第四百六十九首の「年の帰りゆくらん」を受け、本歌も年が「帰る」ことを詠む。

 初句「あはれにも」の「あはれ」は、しみじみと心を動かされるさまをいう。
 二句「暮れゆく年の」は、終わりに近づいてゆく年の、の意である。
 三句「日数かな」の「日数」は残りの日の数、「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。下の句と倒置になっている。
 四句「帰らむことは」の「帰る」は、年が去ってゆくことをいう。本巻の第四百六十九首の「帰りゆくらん」と同じ見方である。
 結句「夜の間と思ふに」の「夜の間」は一夜のうち、の意で、大晦日の一夜で年が去ってしまうことをいう。言いさしの形で余情を残す。

ひかず:日の数
よのま:一夜のうち
作者
相模
出典
千載和歌集
前の歌
さりともと嘆き嘆きて過ぐしつる 年も今宵に暮れ果てにけり
次の歌
数ならぬ身には積もらぬ年ならば 今日の暮れをも嘆かざらまし