我が門の晩稲の引板に驚きて
むろの刈田に鴫ぞ立つなる
- 歌の意味
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わが家の門前の晩稲の田で鳴らす引板の音に驚いて、むろの刈田から鴫が飛び立つ音が聞こえる。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 327
詞書は前の歌に続き「題しらず」
わが家の門前の、遅く実る稲の田で鳴らした引板の音に驚いて、むろの刈田から鴫が飛び立つ音が聞こえる、と詠む。引板の音と鴫の羽音という二つの音で、晩秋の田園の情景を描いている。
作者の「源兼昌」は源俊輔の子である。皇后宮少進などを務め、のちに出家した。小倉百人一首にも歌が採られている。
前歌の第三百二十六首の「驚かす」を受けて、本歌は「驚きて」飛び立つ鴫を詠む。
初句「我が門の」は、わが家の門前の、の意で、二句の「晩稲」の田を示す。本巻の第三百二十五首の「門田」と同じく、家の前の田を詠む。
二句「晩稲の引板に」の「晩稲」は遅く実る稲、「引板」は板に竹などを下げ、綱を引いて鳴らし鳥獣を追う道具である。
三句「驚きて」は、引板の音に驚いて、の意で、前歌の第三百二十六首の「驚かす」と対をなす。
四句「むろの刈田に」の「刈田」は稲を刈り取った後の田である。「むろ」は地名とも解されるが、定かでない。
結句「鴫ぞ立つなる」の「ぞ」は係助詞で、「なる」と連体形で結ぶ。「なる」は音によって判断する推定の助動詞で、鴫が飛び立つ羽音が聞こえる、の意である。
おくて:遅く実る稲、晩稲
ひた:板に竹などを下げ、綱を引いて鳴らし田畑の鳥獣を追う道具
かりた:稲を刈り取った後の田
しぎ:水辺にすむ鳥で、秋の田に飛来する
- 作者
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源兼昌
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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驚かす音こそ夜の小山田は 人なきよりも寂しかりけれ
- 次の歌
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虫の音は浅茅がもとに埋もれて 秋は末葉の色にぞありける