冴えわたる光を霜にまがへてや
月にうつろふ白菊の花
- 歌の意味
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冴えわたる月の光を霜と見誤ったのだろうか、月の光を受けて色を変えてゆく白菊の花よ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 350
詞書「百首歌よみ侍りける時、菊の歌とてよめる」
百首歌を詠んだ折に、「菊の歌」として詠んだ歌である。冷たく冴えわたる月の光を霜と見誤ったのだろうか、白菊の花が月の光を受けて色を変えてゆく、と詠む。白菊は霜にあうと紫に色づくとされ、その移ろいを霜ではなく月の光によるものと見なしたところに趣向がある。
作者の「藤原家隆」は権中納言藤原光隆の子である。藤原俊成に和歌を学び、新古今和歌集の撰者の一人となった。小倉百人一首にも歌が採られている。
本巻の第三百四十六首から第三百五十首までの五首は菊の歌で、第三百四十六首第三百四十八首第三百五十首は結句に「白菊の花」を置く。
初句「冴えわたる」は、一面に冷たく澄みわたる、の意で、月の光の冷ややかさをいう。
二句「光を霜に」は、月の光を霜に、の意で、光と霜との見立てを示す。
三句「まがへてや」の「まがふ」は見分けがつかないほど似る、見誤る意で、「や」は疑問である。白菊が月光を霜と見誤ったのか、と擬人化して問う。
四句「月にうつろふ」の「うつろふ」は色が変わる意である。前歌の第三百四十九首の「うつろへば」と同じ語を用い、白菊の移ろいを詠む。
結句「白菊の花」は体言止めで、本巻の第三百四十六首第三百四十八首と同じ結句である。菊の歌の一連をこの結句で結ぶ。
まがふ:見分けがつかないほどよく似る、見誤る
うつろふ:色が変わる、特に白菊が霜にあって紫に色を変える
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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朝な朝な籬の菊のうつろへば 露さへ色の変はりゆくかな
- 次の歌
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事ごとに悲しかりけりむべしこそ 秋の心を愁へといひけれ