さざ波や比良の高嶺の山おろし
紅葉を湖のものとなしつる
- 歌の意味
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比良の高嶺から吹きおろす山風が、山の紅葉を、湖のものにしてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 366
詞書「湖上落葉といへる心をよめる」
「湖上落葉」、すなわち湖の上に散る落葉という題で詠んだ歌である。比良の高嶺から吹きおろす山風が、山のものであった紅葉を散らして、湖のものにしてしまった、と詠む。紅葉が山から湖へと持ち主を変えるという見方で、湖面を彩る落葉を描いている。
作者の「刑部卿範兼」は藤原範兼である。藤原能兼の子で、刑部卿に至った。歌学に通じ、歌学書「和歌童蒙抄」を著した。
本巻の第三百六十一首と同じく「山おろし」が紅葉を運ぶさまを詠む。
初句「さざ波や」は、「比良」など近江国の地名にかかる枕詞である。
二句「比良の高嶺の」の「比良」は近江国の琵琶湖の西岸にそびえる山である。
三句「山おろし」は山から吹きおろす風である。本巻の第三百六十一首の初句「山おろしに」と同じ語を用いる。ここで句切れとなる。
四句「紅葉を湖の」の「湖」は琵琶湖をいう。山の紅葉が湖のものとなる、という山と湖の対比を示す。
結句「ものとなしつる」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、詠嘆をこめた連体止めである。
さざなみ:「比良」など近江国の地名にかかる枕詞
ひら:近江国の琵琶湖の西岸にそびえる山
うみ:ここでは琵琶湖をいう
やまおろし:山から吹きおろす風
- 作者
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藤原範兼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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都にはまだ青葉にて見しかども 紅葉散りしく白川の関
- 次の歌
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竜田山松のむらだちなかりせば いづくか残る緑ならまし