うたた寝は夢や現に通ふらむ
覚めても同じ時雨をぞ聞く
- 歌の意味
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うたた寝の夢は現実に通じているのだろうか。目が覚めても、夢の中と同じ時雨の音を聞いている。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 407
詞書は前の歌に続き「暁更時雨といへる心をよみ侍りける」
暁更時雨の題で詠んだ歌である。うたた寝の夢は現実に通じているのだろうか、目が覚めても夢の中と同じ時雨の音を聞いている、と詠む。夢の中で聞いていた時雨の音が、目覚めたあとも続いていることに、夢と現実の境のあいまいさを感じ取っている。
作者の「藤原隆信朝臣」は藤原為経の子である。母は美福門院加賀で、藤原定家の異父兄にあたる。似絵の名手として知られる。
前歌の第四百六首と同じ暁更時雨の題の歌で、ともに三句を「通ふらむ」とする。前歌が涙と空との通い合いを詠むのに対し、本歌は夢と現実との通い合いを詠み、二首が対をなしている。
初句「うたた寝は」の「うたた寝」は、床に入らずにうとうとと眠ることである。前歌の第四百六首の「独り寝の」と、寝る様子を示す語で歌い起こす点が共通する。
二句「夢や現に」の「現」は現実、目覚めている状態で、「や」は疑問の係助詞として三句の「らむ」と連体形で結ぶ。
三句「通ふらむ」は、前歌の第四百六首と同じ三句で、ここで句切れとなる。
四句「覚めても同じ」は、目が覚めても夢の中と同じ、の意である。
結句「時雨をぞ聞く」の「ぞ」は強意の係助詞で、「聞く」と連体形で結ぶ。夢の中と同じ時雨を聞いていることを強める。
うたたね:床に入らずにうとうとと眠ること
うつつ:現実、目覚めている状態
- 作者
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藤原隆信
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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独り寝の涙や空に通ふらむ 時雨に曇る有明の月
- 次の歌
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山巡る雲の下にやなりぬらん 裾野の原に時雨過ぐなり