我ゆゑの涙とこれをよそに見ば
あはれなるべき袖の上かな
- 歌の意味
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自分のために流された涙だとして、あの人がこれを傍らから見たならば、きっと心を動かされるにちがいない、涙に濡れた私の袖の上であることよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 757
詞書は前の歌に続き「題しらず」
自分のための涙としてこれを傍らから見るならば、あわれに思われるにちがいない袖の上であることよ、と詠む。涙に濡れた自分の袖を、つれない相手が自分のために流された涙だと知って見てくれたなら、きっと心を動かされるだろうにと、相手に顧みられない恋の嘆きを表している。
作者の「藤原隆信朝臣」は寂超法師の子である。母は美福門院加賀で、藤原定家の異父兄にあたる。似絵と呼ばれる肖像画の名手として知られた。
本巻の第七百二十一首は涙の色を相手に見せたいと詠み、本歌と同じく涙を相手に見てほしいという思いを表す。
初句「我ゆゑの」の「我」は、ここでは相手の立場からいう自分で、自分のための、の意である。
二句「涙とこれを」の「これ」は、涙に濡れた自分の袖を指す。
三句「よそに見ば」の「よそ」は関わりのない所、「ば」は未然形に付いて仮定を表し、傍らから見るならば、の意である。
四句「あはれなるべき」の「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形で、心を動かされるにちがいない、の意である。
結句「袖の上かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、袖の上であることよ、の意である。
よそ:自分とは関わりのない所
- 作者
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藤原隆信
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ひきや夢をこの世の契りにて 覚むる別れを嘆くべしとは
- 次の歌
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逢ふことのかく難ければつれもなき 人の心や岩木なるらん