嵐吹く比良の高嶺の嶺渡しに
あはれ時雨るる神無月かな
- 歌の意味
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嵐が吹く比良の高嶺の、峰から峰へと渡ってゆくように、ああ、時雨の降る神無月であることよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 410
詞書は前の歌に続き「時雨の歌とてよめる」
時雨の歌として詠んだものである。嵐の吹く比良の高嶺の峰から峰へと渡ってゆくように、ああ時雨の降る神無月であることよ、と詠む。嵐に乗って比良の連峰を渡ってゆく時雨に、初冬の神無月らしさを感じ取り、感動をそのまま「あはれ」と表している。
作者の「道因法師」は藤原敦頼である。藤原清孝の子で、晩年に出家した。歌道への執心の深さで知られ、小倉百人一首にも歌が採られている。
第四百八首から本歌までの三首は、同じ詞書のもとに置かれた時雨の歌で、いずれも山の時雨を遠望する。前歌の第四百九首の「峰続き」を受け、本歌は「嶺渡し」と峰から峰へ渡る時雨を詠む。
初句「嵐吹く」は、山から吹きおろす激しい風が吹く、の意である。
二句「比良の高嶺の」の「比良」は近江国の比良山で、琵琶湖の西にそびえる。
三句「嶺渡しに」の「嶺渡し」は、峰から峰へと渡ってゆくことをいう。前歌の第四百九首の「峰続き」と呼応する。
四句「あはれ時雨るる」の「あはれ」は感動の声で、ああ、の意である。
結句「神無月かな」の「神無月」は陰暦十月で、冬の初めの月である。「かな」は詠嘆の終助詞である。
ひら:近江国の比良山で、琵琶湖の西にそびえる
ねわたし:峰から峰へと渡ってゆくこと
かみなづき:陰暦十月
- 作者
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道因
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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時雨れゆく遠の外山の峰続き 移りもあへず雲隠るらん
- 次の歌
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深山辺の時雨れて渡る数ごとに かことがましき玉柏かな