朝ぼらけ宇治の川霧絶え絶えに
現れわたる瀬々の網代木
- 歌の意味
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夜がほのぼのと明けるころ、宇治川の川霧がとぎれとぎれになって、その切れ間から次々と現れてくる、浅瀬ごとの網代木よ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 420
詞書「宇治にまかりて侍りける時よめる」
宇治に出かけた折に詠んだ歌である。夜がほのぼのと明けるころ、宇治川の川霧がとぎれとぎれになって、その切れ間から浅瀬ごとに立てられた網代木が次々と現れてくる、と詠む。冬の早朝の宇治川で、霧が晴れてゆくにつれて景色が少しずつ姿を見せる移ろいを、静かに描いている。小倉百人一首にも採られた名高い一首である。
作者の「中納言定頼」は藤原定頼である。大納言藤原公任の子で、権中納言に至った。四条中納言と呼ばれ、書や管弦にも優れた。中古三十六歌仙の一人である。
前歌の第四百十九首は、定頼の娘が山里に住む父を思いやって送った歌である。本歌はその父定頼の歌で、娘と父の歌が並べられている。網代は冬に宇治川で氷魚を捕る仕掛けで、冬の宇治を代表する景物である。
初句「朝ぼらけ」は、夜がほのぼのと明けるころをいう。
二句「宇治の川霧」は、宇治川に立ちこめる霧である。宇治は山城国の地で、宇治川は歌枕として多く詠まれる。
三句「絶え絶えに」は、とぎれとぎれに、の意で、霧が晴れてゆくさまを示す。
四句「現れわたる」の「わたる」は、一面に、次々に、の意を添え、霧の切れ間から網代木が次々と見えてくることをいう。
結句「瀬々の網代木」は体言止めである。「瀬々」はあちこちの浅瀬、「網代木」は網代を支えるために川の中に打ちこんだ杭である。
あさぼらけ:夜がほのぼのと明けるころ
せぜ:あちこちの浅瀬
あじろぎ:網代を支えるために川の中に打ちこんだ杭
あじろ:冬に川で氷魚などを捕るため、竹や木を編んで設けた仕掛け
- 作者
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藤原定頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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都だに寂しさまさる木枯らしに 峰の松風思ひこそやれ
- 次の歌
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矢形尾の真白の鷹を引き据ゑて 宇陀の鳥立ちを狩り暮らしつる