矢形尾の真白の鷹を引き据ゑて
宇陀の鳥立ちを狩り暮らしつる
- 歌の意味
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矢形尾の真っ白な鷹を腕に据えて、宇陀の野の鳥の集まる場所で、一日中狩りをして過ごしたことだ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 421
詞書「堀河院の御時、百首歌たてまつりける時、鷹狩の心をよめる」
堀河天皇の時代に百首歌を詠進した折、鷹狩の題で詠んだ歌である。矢形尾の真っ白な鷹を腕に据えて、宇陀の野の鳥立ちで日が暮れるまで狩りをして過ごした、と詠む。白い鷹を連れて冬の狩場で一日を過ごす、勇ましくも晴れやかな鷹狩の情景を描いている。
作者の「藤原仲実朝臣」は藤原能成の子である。院政期の歌人で、堀河院に詠進された百首歌、いわゆる堀河百首の作者の一人である。
第四百二十一首から第四百二十三首までの三首は、堀河百首の鷹狩の歌である。堀河百首は、堀河天皇の時代に源俊頼、藤原公実らが題を分けて百首ずつ詠んだもので、後の百首歌の規範となった。鷹狩は飼いならした鷹を放って鳥を捕らえる狩りで、冬の景物とされた。
万葉集の大伴家持の歌に「矢形尾の真白の鷹」の句があり、本歌はこれをふまえている。
初句「矢形尾の」の「矢形尾」は、矢羽根のような斑模様のある鷹の尾をいう。
二句「真白の鷹を」の「真白」は真っ白の意で、白い鷹は珍重された。初句とあわせて、万葉集の大伴家持の歌の句をふまえる。
三句「引き据ゑて」の「引き据う」は、鷹を腕にしっかりと止まらせる意である。
四句「宇陀の鳥立ちを」の「宇陀」は大和国の地で、宇陀野は古くからの狩場であった。「鳥立ち」は狩場で鳥の集まっているところをいう。
結句「狩り暮らしつる」の「狩り暮らす」は、日が暮れるまで狩りをして過ごす意である。「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、余情をこめて結ぶ。
やかたを:矢羽根のような斑模様のある鷹の尾
ひきすう:鷹を腕にしっかりと止まらせる
とだち:狩場で鳥の集まっているところ
かりくらす:日が暮れるまで狩りをして過ごす
- 作者
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藤原仲実
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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朝ぼらけ宇治の川霧絶え絶えに 現れわたる瀬々の網代木
- 次の歌
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降る雪に行方も見えずはし鷹の 尾ぶさの鈴の音ばかりして