跡絶えて訪ふべき人もおもほえず
たれかは今朝の雪を分け来ん
- 歌の意味
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人の行き来も絶えて、訪ねて来てくれそうな人も思い浮かばない。いったい誰が、今朝の雪を分けてやって来るだろうか。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1170
詞書「すたれかは」
物名の歌で、「すたれかは」という語を、三句の「おもほえず」から四句の「たれかは」にかけて隠して詠み込んでいる。人の通った跡も絶えて、訪ねて来そうな人も思い浮かばない、誰が今朝の雪を分けて来るだろうか、と詠む。雪に閉ざされた住まいで、訪れる人のない寂しさをかみしめる歌である。
作者の「中納言定頼」は藤原定頼である。大納言藤原公任の子で、権中納言に至り、中古三十六歌仙の一人に数えられる。
物名の一連の二首目である。
初句「跡絶えて」は、人の通った足跡が絶えて、の意で、雪に埋もれて人の行き来がない様子を言う。
二句「訪ふべき人も」の「訪ふ」は訪ねる、「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形で、訪ねて来そうな人も、の意である。
三句「おもほえず」は、思われない、思い浮かばない、の意で、ここで句切れとなる。末尾の「ず」から次の句にかけて、物名の「すたれかは」が隠されている。
四句「たれかは今朝の」の「かは」は反語の係助詞で、結句の「ん」で結ぶ。誰が来ようか、誰も来はしない、の意である。
結句「雪を分け来ん」は、雪をかき分けてやって来るだろうか、の意で、「ん」は推量の助動詞「む」の連体形として係り結びの結びとなる。
すたれかは:物名の題、三句から四句にかけて隠されている
おもほゆ:自然に思われる、思い浮かぶ
とふ:訪ねる、訪れる
- 作者
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藤原定頼
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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夜のほどにかりそめ人や来たりけん 淀の真菰のけさみだれたる
- 次の歌
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榊葉は紅葉もせじを神がきの から紅に見えわたるかな