散り散りに別るる今日の悲しさに
涙しもこそ止まらざりけれ
- 歌の意味
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散り散りに別れてゆく今日の悲しさに、とどめておきたいと仰せの涙こそ、かえってとどまらずに流れることだ。
- 鑑賞
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巻第九 哀傷歌 579
詞書「御返事」
前歌の崇徳院の歌への返歌である。散り散りに別れてゆく今日の悲しさに、涙こそかえって止まらない、と詠む。せめて涙だけでもとどめたいという院の思いを受け、この別れの悲しさのために、涙はとどまるどころか流れつづけていると答え、待賢門院を失った悲しみを院とともにしている。
作者の「上西門院兵衛」は神祇伯源顕仲の娘である。待賢門院堀河の妹で、待賢門院に仕え、のちにその皇女の上西門院統子内親王に仕えた。崇徳院の久安百首の作者の一人である。
前歌の第五百七十八首との贈答で、前歌の「かたがた別る」「涙をだにも止めて」を、本歌は「散り散りに別るる」「涙しもこそ止まらざりけれ」と受けて返している。
初句「散り散りに」は、ばらばらに、の意で、前歌の「かたがた」を受ける。
二句「別るる今日の」は、人々が別れてゆく今日の、の意で、前歌の三句「別るとも」を受ける。
三句「悲しさに」は、悲しさのために、の意である。
四句「涙しもこそ」の「しも」は強意の副助詞、「こそ」は強意の係助詞で、結句の「けれ」と已然形で結ぶ。前歌の「涙をだにも」を受ける。
結句「止まらざりけれ」の「ざり」は打消しの助動詞「ず」の連用形、「けれ」は詠嘆の助動詞「けり」の已然形で、止まらないことだ、の意である。前歌の結句「止めてしがな」に応じる。本巻の第五百六十五首の「止まらざりけり」とも語を同じくする。
かへりごと:返事、返歌
- 作者
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上西門院兵衛
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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限りありて人はかたがた別るとも 涙をだにも止めてしがな
- 次の歌
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悲しさをこれよりけにや思はまし かねてならはぬ別れなりせば