たよりあらば海人の釣り舟言伝てむ
人をみるめに求めわびぬる
- 歌の意味
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便りがあるならば、海人の釣り舟に言伝てを頼もう。あの人に逢う機会を、海松布を探すように求めあぐねていると。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 673
詞書「題しらず」
便りがあるなら海人の釣り舟に言伝てしよう、人に逢う機会を海松布のように探しあぐねている、と詠む。「みるめ」に海藻の「海松布」と「見る目」を掛け、海人や釣り舟といった海の縁語で一首をまとめて、逢う手立てを見いだせない恋の嘆きを伝えようとしている。
作者の「花薗左大臣」は源有仁である。後三条天皇の孫で、輔仁親王の子である。臣籍に降下して源姓となり、左大臣に至った。詩歌管弦に優れた。
本巻の第六百四十六首は作者の父輔仁親王の歌である。また巻頭の第六百四十一首の「難波江」、第六百六十五首の「難波女」など、海辺の景物に寄せる恋の歌が見られる。
初句「たよりあらば」の「たより」は、ついで、手づるの意で、もしつてがあるならば、の意である。
二句「海人の釣り舟」は、漁をする海人の釣り舟で、言伝てを託す相手とする。
三句「言伝てむ」の「む」は意志の助動詞で、言伝てを頼もう、の意である。ここで句切れとなり、四句以下が言伝ての内容となる。
四句「人をみるめに」の「みるめ」は、海藻の「海松布」と、逢う機会の意の「見る目」を掛け、「海人」「釣り舟」と縁語になる。
結句「求めわびぬる」の「わび」は…しかねる意、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で、求めあぐねている、の意である。
たより:ついで、つて
あま:海で漁をする人
ことづつ:伝言を頼む
みるめ:海藻の海松布と、人に逢う機会の見る目を掛ける
もとめわぶ:求めあぐねる
- 作者
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源有仁
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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世を厭ふはしと思ひし通ひ路に あやなく人を恋ひわたるかな
- 次の歌
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またもなくただ一筋に君思ふ 恋路に惑ふ我や何なる