はかなくも人に心を尽くすかな
身のためにこそ思ひ初めしか
- 歌の意味
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むなしいことに、あの人のために心を尽くしていることだ。自分の身のためにこそ、恋しく思いはじめたのだが。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 705
詞書「題しらず」
むなしくも人のために心を尽くしていることだ、自分の身のためにこそ思いはじめたのに、と詠む。自らの幸せを求めて始めた恋であったのに、いつのまにか相手のためにばかり心をすり減らしているという、恋の逆説を見つめた歌である。
作者の「花薗左大臣」は源有仁である。後三条天皇の孫で、輔仁親王の子である。臣籍に降下して源姓となり、左大臣に至った。詩歌管弦に優れた。
結句の「思ひ初めしか」は、次歌の第七百六首の初句「恋ひ初めし」と「初め」の語を共有し、恋の始まりを振り返る二首が並んでいる。
初句「はかなくも」は、むなしいことに、の意で、一首の嘆きの基調を示す。
二句「人に心を」は、相手に対して心を、の意である。
三句「尽くすかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、心を尽くしていることだ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「身のためにこそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の「しか」と係り結びをなす。自分の身のためにこそ、の意である。
結句「思ひ初めしか」の「しか」は過去の助動詞「き」の已然形で、四句の「こそ」の結びである。思いはじめたのだが、と逆接の余意を含む。次歌の初句「恋ひ初めし」と同じく恋の始まりを詠む。
おもひそむ:恋しく思いはじめる
- 作者
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源有仁
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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思ひ余り人に問はばや水無瀬川 むすばぬ水に袖は濡るやと
- 次の歌
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恋ひ初めし人はかくこそつれなけれ 我が涙しも色変はるらん