- 歌の意味
-
映る影が清らかな花の鏡と見えることだ。のどかに澄んでいる白川の水は。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌上 44
詞書「鳥羽院位下りさせ給ひてのち、白河に御幸ありて花御覧じける日、よみ侍りける」
鳥羽天皇が位を退いて上皇となったのち、白河に御幸して花を御覧になった日に詠んだ歌である。のどかに澄みきった白川の流れには桜の姿が清らかに映り、まるで花を映す鏡のようだと詠む。上皇を迎えた晴れの日の穏やかな春景色を、澄んだ水と花の映り合いで描き、御代の太平をことほいでいる。
作者の「花園左おほいまうちきみ」は源有仁である。後三条天皇の皇子輔仁親王の子で、臣籍に下って左大臣に至った。花園左大臣と呼ばれ、和歌や管弦にすぐれた。「おほいまうちきみ」は大臣をいう。
初句「影清き」の「影」は、水面に映る花の姿をいう。
二句「花の鏡と」は、花を映す鏡として、の意である。
三句「見ゆるかな」は、見えることだ、の意で、ここで句切れとなる。
四句「のどかに澄める」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、穏やかに澄んでいる、の意である。次歌の第四十七首にも「のどかに」の語が見える。
結句「白川の水」は体言止めで、三句までの主語をあとに置く倒置となる。白川は京の東を流れる川で、白河院の御所のあった地でもある。
かげ:水面に映る姿
おほいまうちきみ:大臣
- 作者
-
源有仁
- 出典
-
千載和歌集
- 前の歌
-
山桜尋ぬと聞くに誘はれぬ 老いの心のあくがるるかな
- 次の歌
-
万代の花のためしや今日ならむ 昔もかかる春しなければ