越えやらで恋路に迷ふ逢坂や
世を出で果てぬ関となるらん
- 歌の意味
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越えきれずに恋の道に迷っている逢坂の関は、私がこの世を出家して離れきれないようにする関所となるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 752
詞書「恋為後世妨といへる心を詠める」
「恋為後世妨」、すなわち恋が後世の往生のさまたげとなるという題で詠んだ歌である。越えきれずに恋路に迷う逢坂は、世を出きれない関となるのだろうか、と詠む。逢うという名をもつ逢坂の関を越えられずに恋の道に迷い続けることが、そのまま俗世を捨てて仏道に入ることをさまたげる関となるのだと、恋と出家との葛藤を表している。
作者の「藤原家基」は平安時代末期の官人、歌人である。経歴の詳細は多く伝わらない。
「恋路」は本巻の第七百二十七首にも詠まれ、恋を道にたとえる点で通い合う。
初句「越えやらで」の「やる」は、最後まで…しきる意、「で」は打消しの接続助詞で、越えきれずに、の意である。
二句「恋路に迷ふ」の「恋路」は恋を道にたとえた語である。本巻の第七百二十七首の二句「恋路は遠き」と同じ語を用いる。
三句「逢坂や」の「逢坂」は山城国と近江国の境にある関所で、その名に「逢ふ」を含む。「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。
四句「世を出で果てぬ」の「世を出づ」は出家して俗世を離れる意で、「果てぬ」は、しきれない、の意である。
結句「関となるらん」の「関」は通行をさえぎる関所で、三句の「逢坂」の縁語となる。「らん」は推量の助動詞「らむ」の連体形で、三句の「や」の結びである。関となるのだろうか、の意である。
こひぢ:恋を道にたとえた語
あふさか:山城国と近江国の境の関所。その名に逢ふを含む
よをいづ:出家して俗世を離れる
- 作者
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藤原家基
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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誰ゆゑかあくがれにけん雲間より 見し月影はひとりならじを
- 次の歌
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手枕の上に乱るる朝寝髪 下に解けずと人は知らじな