さ夜千鳥ふけひの浦におとづれて
絵島が磯に月傾きぬ
- 歌の意味
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夜の千鳥が吹飯の浦で鳴く声を立て、夜も更けて、絵島の磯に月が傾いてしまった。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 990
詞書「月の歌十首詠み侍りける時、詠める」
月の歌を十首詠んだ時の歌である。夜の千鳥が吹飯の浦で鳴いて、絵島の磯に月が傾いてしまった、と詠む。千鳥の声で夜更けを知り、気づけば月が西の磯に傾いているという、時の移ろいを音と光でとらえた海辺の夜の景である。
作者の「藤原家基」は平安時代後期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。
前歌の第九百八十九首と「絵島」を共有する。前歌が冴えわたる月の光を詠むのに対し、本歌は夜更けに傾いていく月を詠み、月夜の時の移ろいが表されている。また本歌から第九百九十四首までは、同じ時に月の歌十首を詠んだ歌人たちの歌が続く。
初句「さ夜千鳥」は、夜に鳴く千鳥で、「さ」は接頭語である。
二句「ふけひの浦に」の「ふけひ」は、和泉国の歌枕である吹飯の浦の意と、夜が更ける意を掛ける掛詞である。
三句「おとづれて」は、音を立てて、鳴き声を響かせて、の意である。
四句「絵島が磯に」は、淡路の絵島の磯で、前歌の第九百八十九首の四句「絵島が崎に」と応じる。
結句「月傾きぬ」の「ぬ」は完了の助動詞で、月が傾いてしまった、の意である。
さよちどり:夜に鳴く千鳥
ふけひ:和泉国の歌枕である吹飯の浦の意と、夜が更ける意を掛ける
おとづる:音を立てる、鳴く
ゑしま:淡路島の北端にある小島、歌枕
- 作者
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藤原家基
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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播磨潟須磨の月夜め空冴えて 絵島が崎に雪降りにけり
- 次の歌
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筏下ろす清滝川に澄む月は 棹にさはらぬ氷なりけり