今朝問はぬつらさにものは思ひ知れ
我もさこそは恨みかねしか
- 歌の意味
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今朝、便りをしなかったつらさによって、恋の物思いというものを思い知るがよい。私もまた、そのように恨みに堪えかねていたのだから。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 798
詞書「同じ御時、忍びて初めて参上りて侍りける人に、朝政のほど紛れさせ給ふことありて、暮れにける夕方遣はしける」
前歌と同じく後白河天皇の在位中、忍んで初めて参上した女性に、朝の政務に紛れて後朝の文を送れず、夕方になって贈った歌である。今朝便りをしなかったつらさで物思いを思い知れ、私もそのように恨みに堪えかねていたのだ、と詠む。後朝の文が遅れた言い訳をせず、かえって、待たされるつらさを知って恋の物思いを思い知るがよい、私もずっとあなたを恋い恨んでいたのだからと、戯れまじりに相手を引き寄せている。
作者の「院御製」は、本集の撰進を命じた後白河院の詠んだ歌を示す。鳥羽天皇の第四皇子で、第七十七代の天皇として即位し、譲位後は長く院政を行った。今様を好み、「梁塵秘抄」を編んだ。
前歌が逢瀬の翌朝から今日の暮れを待ちかねる歌であったのに対し、本歌は文を待たせた暮れに贈られ、待つ側と待たせる側とが反転している。
初句「今朝問はぬ」の「問ふ」は訪れる、便りをする意で、今朝便りをしなかった、の意である。逢瀬の翌朝に贈るべき後朝の文が遅れたことを示す。
二句「つらさにものは」の「つらさ」は、便りを待たされたつらさ、「もの」は恋の物思いである。
三句「思ひ知れ」は、身にしみて悟れ、の意の命令形である。ここで句切れとなる。
四句「我もさこそは」の「さ」は、そのように、の意で、「こそ」は強意の係助詞である。結句の「しか」と係り結びをなす。
結句「恨みかねしか」の「かぬ」は〜しきれない意、「しか」は過去の助動詞「き」の已然形で、四句の「こそ」の結びとなる。恨みに堪えかねていたのだ、の意である。
とふ:訪れる、便りをする
おもひしる:身にしみて悟る
うらみかぬ:恨みに堪えきれない
- 作者
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後白河院
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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万代を契り初めつるしるしには かつがつ今日の暮ぞ久しき
- 次の歌
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かねてより思ひしことぞ伏柴の こるばかりなるなげきせんとは