紅葉葉に月の光をさしそへて
これやあかぢの錦なるらん
- 歌の意味
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紅葉に月の光が差し加わって、これこそが赤地の錦、月に明るく照らされた錦なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌下 360
詞書「月照紅葉といへる心を男どもつかうまつりける時、よませ給うける」
「月照紅葉」、すなわち月が紅葉を照らすという題で、臣下たちが歌を詠んだ折に、院みずから詠んだ歌である。紅葉に月の光が差し加わったこの景色こそ、赤い地に織った錦、そして月に明るく照らされた錦というものなのだろうか、と詠む。「あかぢ」の一語に紅葉の赤と月の明るさとを重ね、題の「月」と「紅葉」とを一つの錦に織り上げている。
作者の「院御製」は後白河院である。鳥羽天皇の皇子で、第七十七代の天皇として即位し、譲位後も長く院政を行った。今様を好んで「梁塵秘抄」を編み、藤原俊成に本集、千載和歌集の撰進を命じた。
本巻の第三百四十七首が月の光と白菊を詠んだのと対をなし、本歌は月の光と紅葉を詠む。
初句「紅葉葉に」は、月の光が差しかかる所を示す。
二句「月の光を」は、題の「月照」を示す。本巻の第三百四十七首の「照らす月影」と同じく、月の光が花や葉を照らすさまを詠む。
三句「さしそへて」の「さしそふ」は光がさらに加わる意である。紅葉の赤に月の光が加わることをいう。
四句「これやあかぢの」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と連体形で結ぶ。「あかぢ」は、赤い地色の意と、月の光で明るい意の「明か」を掛ける掛詞である。
結句「錦なるらん」の「らん」は現在推量で、錦なのだろうか、と推し量る。紅葉と月光とを錦に見立てて結ぶ。
あかぢ:赤い地色の意と、月の光で明るい意の「明か」を掛ける
さしそふ:光がさらに加わる
にしき:色とりどりの糸で模様を織り出した絹織物
- 作者
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後白河院
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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山姫に千重の錦を手向けても 散る紅葉葉をいかでとどめん
- 次の歌
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山おろしに浦伝ひする紅葉かな いかがはすべき須磨の関守