人はいさ飽かぬ夜床にとどめつる
我が心こそ我を待つらめ
- 歌の意味
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あの人はさあどうだかわからない。名残の尽きない夜の床に残してきた私の心こそが、私を待っていることだろう。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 805
詞書「後朝恋の心を詠める」
「後朝恋」、すなわち共寝の翌朝の別れの恋という題で詠んだ歌である。あの人はさあどうだか、名残尽きない夜床に残してきた私の心こそが私を待っているだろう、と詠む。古今集の紀貫之の歌「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける」の初句を借り、相手の心はわからないが、別れがたく床に残してきた自分の心だけは、確かに自分の帰りを待っているという機知で、後朝の名残惜しさを表している。
作者の「前右京権大夫頼政」は源頼政である。兵庫頭源仲政の子で、右京権大夫を務めた武将、歌人である。のちに以仁王を奉じて平家打倒の兵を挙げ、宇治で敗死した。
初句「人はいさ」の「いさ」は、さあどうだか、の意で、相手の心はわからないことを示す。紀貫之の歌の初句と同じである。
二句「飽かぬ夜床に」の「飽かぬ」は満ち足りない、名残の尽きない意、「夜床」は寝床である。
三句「とどめつる」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、残してきた、の意である。
四句「我が心こそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の「らめ」と係り結びをなす。初句の「人」と対比させる。
結句「我を待つらめ」の「らめ」は現在推量の助動詞「らむ」の已然形で、「こそ」の結びとなる。私を待っていることだろう、の意で、ふつう女が男を待つところを、自分の心が自分を待つと転じている。
よどこ:寝床
- 作者
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源頼政
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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磯馴木のそなれそなれて伏す苔の まほならずとも逢ひ見てしかな
- 次の歌
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思へただ入りやらざりし有明の 月より先に出でし心を