包めども枕は恋を知りぬらん
涙かからぬ夜はしなければ
- 歌の意味
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人には隠していても、枕だけは私の恋を知ってしまっただろう。涙がかからない夜はないのだから。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 812
詞書「寄枕恋といへる心を詠み侍りける」
「寄枕恋」、すなわち枕に寄せる恋という題で詠んだ歌である。隠していても枕は恋を知ってしまっただろう、涙のかからない夜はないのだから、と詠む。人には恋を隠しおおせても、毎夜涙を受け止める枕にだけは隠しようがないという趣向で、人知れず泣き明かす夜の続く忍ぶ恋を表している。枕が恋を知るという発想は、古今集の平貞文の歌「枕より又知る人もなき恋を涙せきあへずもらしつるかな」などにも見える。
作者の「久我内大臣」は源雅通である。権大納言源顕通の子で、右大臣源雅定の養子となり、内大臣に至った。久我の地に住んだことから久我内大臣と呼ばれ、源通親の父である。
初句「包めども」の「包む」は隠す意、「ども」は逆接の接続助詞で、人に隠していても、の意である。
二句「枕は恋を」は、ほかの誰でもなく枕だけは、の意で、題の「枕」を示す。
三句「知りぬらん」の「ぬ」は完了、「らん」は現在推量の助動詞で、知ってしまっただろう、の意である。ここで句切れとなり、下の句と倒置の関係にある。
四句「涙かからぬ」は、涙がかからない、の意である。
結句「夜はしなければ」の「し」は強意の副助詞、「ば」は順接の確定条件で、夜はないのだから、と三句の理由を示す。
つつむ:隠す
- 作者
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源雅通
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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東屋の浅木の柱我ながら いつふしなれて恋しかるらん
- 次の歌
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恋すれば燃ゆる蛍も鳴く蝉も 我が身の外のものとやは見る