ほど経れば人は忘れてやみぬらん
契りしことをなほ頼むかな
- 歌の意味
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時がたったので、あの人はもう忘れてしまって、それきりになっているのだろう。それなのに私は、約束したことをなおも頼みにしていることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 845
詞書「題しらず」
時がたったのであの人は忘れてそのままになっているのだろう、それなのに約束したことをなおも頼みにしている、と詠む。相手はとうに忘れているだろうと頭ではわかっていながら、交わした約束にすがってしまう自分を見つめた歌である。相手と自分の心のずれを、上の句と下の句の対比で鮮やかに表している。
作者の「和泉式部」は越前守大江雅致の娘である。和泉守橘道貞の妻となって小式部内侍を生み、のち為尊親王、敦道親王と恋愛関係を結んだ。上東門院彰子に仕え、情熱的な恋の歌で知られる。
初句「ほど経れば」の「ほど」は時間、「ば」は順接の確定条件で、時がたったので、の意である。
二句「人は忘れて」の「人」は恋の相手を指し、「は」によって四句、結句の自分の側と対比させている。
三句「やみぬらん」の「やむ」は終わりになる、「ぬ」は完了の助動詞、「らん」は現在推量の助動詞で、今はもうそれきりになっているのだろう、の意である。ここで句切れとなる。
四句「契りしことを」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、かつて約束したことを、の意である。
結句「なほ頼むかな」の「なほ」はそれでもやはり、の意で、相手が忘れていると知りながら頼みにする心を示す。「かな」は詠嘆の終助詞である。
やむ:終わりになる、途絶える
- 作者
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和泉式部
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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待つとてもかばかりこそはあらましか 思ひもかけぬ秋の夕暮
- 次の歌
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竹の葉に玉貫く露にあらねども まだ夜をこめておきにけるかな