竹の葉に玉貫く露にあらねども
まだ夜をこめておきにけるかな
- 歌の意味
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竹の葉に玉を貫いたように置く露ではないけれども、まだ夜の明けきらないうちに、私は起きて帰ってきたことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 846
詞書「女のもとより夜深く帰りてつかはしける」
女のもとからまだ夜の深いうちに帰って、送った後朝の歌である。竹の葉に玉を貫く露ではないけれど、まだ夜深いうちに起きてしまった、と詠む。露が「置く」ことと自分が「起く」ことを掛け、夜明け前に置く露のように、まだ暗いうちに起きて別れてきた名残惜しさを伝えている。人目を避けて早く帰らねばならなかった心残りを、露の比喩に託した歌である。
作者の「藤原実方朝臣」は藤原定時の子である。叔父の藤原済時の養子となり、左近中将を務めたが、陸奥守として任地に下り、その地で没した。小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「竹の葉に」は露の置く所を示す。竹の葉の上の露は、玉のように輝くものとして古くから詠まれてきた。
二句「玉貫く露に」の「玉貫く」は玉を緒に通して連ねることで、竹の葉に連なる露の粒を玉に見立てた表現である。
三句「あらねども」の「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ども」は逆接の接続助詞で、露ではないけれども、の意である。
四句「まだ夜をこめて」の「夜をこめて」はまだ夜が深いうちに、の意である。夜明け前に女のもとを去ったことを示す。
結句「おきにけるかな」の「おき」は、露が「置き」の意と、自分が「起き」の意を掛ける。「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「ける」は過去の助動詞「けり」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。露と縁のある「置く」を掛けて、二句の「露」と響き合わせている。
たまぬく:玉を緒に通して連ねる
よをこむ:まだ夜が深いうちに事をする
おく:露が「置く」の意と、自分が「起く」の意を掛ける
- 作者
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藤原実方
- 出典
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千載和歌集
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ほど経れば人は忘れてやみぬらん 契りしことをなほ頼むかな
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木の間より領巾振る袖をよそに見て いかがはすべき松浦佐用姫