誰もよもまだ聞きそめじ鶯の
君にのみこそ音しはじむれ
- 歌の意味
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誰もまさかまだ聞き始めてはいないだろう、この鶯の声を。あなたにだけこそ、初めて鳴いて聞かせるのだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 869
詞書「睦月の朔日ごろ、忍びたるところにつかはしける」
正月の初めごろ、人目を忍んで通う女のもとに送った歌である。誰もまだ聞き始めてはいないだろう、この鶯はあなたにだけ初めて鳴くのだ、と詠む。新春に初めて鳴く鶯の初音に、自分の恋の思いの打ち明けを重ね、ほかの誰にでもなく、あなたにだけ思いを告げているのだと伝えている。正月という季節に合わせ、鶯の初音に託して恋心を表した歌である。
作者の「二条院御製」は二条天皇である。後白河天皇の第一皇子で、第七十八代天皇となった。歌を好み、在位中に内裏で歌会を催したが、若くして没した。
次歌の第八百七十首は本歌への返事で、二首が贈答をなす。本歌が鶯の初音を君にのみ聞かせると詠むのに対し、返歌は鶯は都に馴れてしまったのだろうと切り返し、同じ鶯の語で応じている。
初句「誰もよも」の「よも」は下に打消推量の「じ」を伴って、まさか…ないだろう、の意を表す。
二句「まだ聞きそめじ」の「聞きそむ」は聞き始める意で、「じ」は打消推量の助動詞である。まさかまだ聞き始めてはいないだろう、の意となる。ここで句切れとなる。
三句「鶯の」は四句以下の主語で、正月に初めて鳴く鶯の初音を示す。次歌の第八百七十首の初句「鶯は」と応じる。
四句「君にのみこそ」の「のみ」は限定の副助詞で、「こそ」は強意の係助詞である。結句の「はじむれ」と已然形で結ぶ。
結句「音しはじむれ」は声を立て始める、すなわち鳴き始める、の意で、「こそ」の結びとして已然形となる。あなたにだけ鳴き始めるのだ、と恋心の打ち明けを鶯の初音に託して結ぶ。
ききそむ:聞き始める
- 作者
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二条院
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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水茎はこれを限りと書きつめて せきあへぬものは涙なりけり
- 次の歌
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鶯はなべて都に馴れぬらん 古巣に音をば我のみぞなく