先立ちし人は闇にや迷ふらん
いつまで我も月をながめん
- 歌の意味
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先に死んでいった人は、冥途の闇に迷っているのだろうか。私もいつまでこうして月を眺めていられるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 998
詞書「見月恋故人といへる心を詠める」
「月を見て故人を恋う」という題で詠んだ歌である。先立った人は闇に迷っているのだろうか、私もいつまで月を眺めていられるだろう、と詠む。明るい月を眺めながら、死んだ人は冥途の闇に迷っているのではないかと思いやり、やがて自分も同じ身になるのだと無常を感じている。月の明るさと死後の闇の対比が印象的である。
作者の「源仲綱」は源頼政の子である。伊豆守などをつとめ、治承四年(1180)、父とともに以仁王を奉じて挙兵し、宇治で自害した。
本巻の第千二十一首の「迷はむ闇」と、闇に迷うことを詠む点で通っている。
初句「先立ちし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、先に死んでいった、の意である。
二句「人は闇にや」の「闇」は、死後の世界の暗闇、冥途の意である。「や」は疑問の係助詞で、三句の「らん」で結ぶ。
三句「迷ふらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、迷っているのだろうか、の意である。ここで句切れとなる。本巻の第千二十一首の四句「迷はむ闇の」と応じる。
四句「いつまで我も」は、いつまで私も、の意で、自分もやがて死ぬ身であることを思う。
結句「月をながめん」の「ん」は推量の助動詞「む」の連体形で、月を眺めていられるだろう、の意である。闇と月の光が対比されている。
さきだつ:先に死ぬ
やみ:暗闇、ここでは死後の世界の闇
- 作者
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源仲綱
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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はかなくもわがよの更けを知らずして いさよふ月を待ちわたるかな
- 次の歌
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残りなくわがよ更けぬと思ふにも 傾く月に澄む心かな